洋服に関わる仕事の中で。

アパレル不況とまでいわれている洋服の業界。夢を持って今日も売場に立つ人達に向けた僕の知っている、そして30年に渡り経験してきた話。

小さな一歩

人は普段、自分の身体の一部であっても、殆どその部分を意識せずに過ごす事がある。よく使う手や足は、手が疲れた、足が痛いなどと気遣う事もあるが、額や眉間はどうだろう。毎日の生活で額を意識して過ごす事はほぼ無いと思う。

 

この業界に限らずどの業界でもそうだと思うが、普段気づかない場所に気づいていける事が第一に必要なのだと思う。何故なら、アパレル不況と言ってもそれを感じていない人達もいるだろう。それは実績をみて思うのではなく、ただ毎日の業務に追われて気づいていない事を指す。大きな流れや、専門家による数字的な分析もされているけれども、何かに気づいていく事は、売場に立つスタッフにだってできる事だ。特に店長と名の付くスタッフは沢山の事に気づいていく必要があるのではないだろうか。

 

大きな流れ、社会背景、他の同業者、流通在庫や消費者の動向ももちろん大切であるけれども、この業界が昔からの習慣から抜け出せないという病気にかかっているならば、一つ一つの小さな気づきが変化をもたらすのではないだろうか。小さな行動ではあるけれども、誰も何も行動しないのであれば何も変わらないという事実しか残らない。会社の上層部による大きな決断と今までに聞いた事もないプロジェクト。そういった大きな力に沿いながら、スタッフ一人一人が業界をリードしていくつもりで事にあたらなければならない。

 

僕自身の店舗では、準備が出来次第大きなプロジェクト1つと、小さなプロジェクト1つに取り組んでいく。小さなプロジェクトは、毎日注意深く観察した事をノートに書き留めた集大成でもある。もし、企業の末端であるスタッフの方から新しい小さな事を始めるのであれば、「気づきのノート」を毎日書いていく事が毎日少しずつの前進に繋がると思う。それが小さな一歩である。

 

小さな力が大きな力に勝るかといったら、そんな時ばかりではないけれども、人が作ってきた道を歩くだけがビジネスではないと思う。僕自身ももちろん取り組んでいるけれども、みなさんも決して他人や他社と比較する事無くこの業界に光をもたらすようなものを創造してほしいと願う毎日である。